2026/07/24

中央区の地価地図 1995-2023 — 国土数値情報で同じ19地点の28年を可視化

国土数値情報の地価公示データを使って、東京都中央区の地価が1995年から2023年までどう動いたかを地図上で見られるサイトを作りました。

https://chuo-ward-landprice.onchange.workers.dev/

スライダーを1995年から2023年へ動かすと、円の大きさ(=地価)と色(=1995年比)が変わっていきます。日本橋・銀座・八丁堀・勝どきなど、中央区の19地点を並べてあります。

同じ中央区で、地価は23倍ちがう

まず目につくのは、区内の格差です。2023年の断面で見ると、いちばん高い銀座四丁目交差点(三越・和光のあたり)が2,860万円/m²。いちばん安い日本橋人形町の裏通りが127万円/m²。同じ区の、電車で数分の距離で、22.5倍の開きがあります。

「銀座は高い」という話は誰でも知っていますが、数字で並べると、その差が中央区という一つの区の中に収まっていることに改めて驚きます。

1995年を超えたのは、19地点のうち3地点だけ

このサイトでは各地点を「1995年=100」の指数にして、色で表しています。100を超えれば暖色、下回れば寒色です。

28年たった2023年時点で、1995年の水準を超えているのは次の3地点だけでした。

  • 銀座四丁目交差点 … 201(1995年の約2倍)
  • 松屋銀座 … 169
  • 東京駅八重洲南 … 145

いずれも、基幹の駅や大通りの交差点に面した街区です。残りの16地点は、いまも1995年の水準に届いていません。地名としてのブランド(銀座・日本橋)で回復したわけではなく、「どの通りに面しているか」で戻り方が大きく違う、という印象を受けます。

実際、同じ銀座でも一本裏に入った銀座二丁目は63にとどまります。これは日本橋側の裏通りとそれほど変わりません。

再開発の中心でも、6割弱

個人的にいちばん意外だったのが、日本橋室町です。三井本館やCOREDO室町がある、日本橋再開発の象徴のような場所ですが、指数は57(535万円/m² → 303万円/m²)。COREDO室町の開業(2010年)を挟んでも、1995年の6割弱にとどまっています。

再開発が街の賑わいを変えたのは間違いないと思いますが、少なくとも地価公示という一つの指標で、隣の街区までは十分に波及していない、という見え方になります。地価は再開発の効果が反映されるまで時間差もあるので、これだけで結論を出せる話ではありませんが、事実として「戻っていない」ことは記録に残っています。

全地点の「底」が、2004〜2005年に集中していた

スライダーを動かしていて気づいたのは、多くの地点が同じタイミングで底を打っていることです。19地点のうち15地点が、2004年か2005年に最安値をつけていました。バブル崩壊後の下落が、この時期にそろって止まっている。個別の街の事情というより、もっと大きな流れがあったことがうかがえます。

「地点が増えると比較にならない」という落とし穴

作る過程で一度つまずいた話を書いておきます。

地価公示は毎年少しずつ調査地点が増えます。中央区も、古い年ほど地点が少なく、新しい年ほど多い。最初はデータにある全64地点をそのまま地図に出していたのですが、これだと再生したときに「点が増えていく」のか「地価が動いた」のか区別がつきません。増えた点は、単に新しく調査対象になっただけなのに、画面上は何かが起きたように見えてしまう。

そこで、1995年から2023年まで欠測なく調査され続けた19地点だけに絞りました。全期間で地点数が変わらないので、純粋に同じ地点の推移だけを比べられます。地点数は減りましたが、比較として成立するほうを取りました。

データの扱いで気をつけたこと

  • 地価公示の地点は「その街区の標準的な地価」であって、特定の建物の資産価値ではありません。施設名のラベル(「COREDO室町」など)は場所の目印として付けたもので、その建物の敷地価格ではない、という点は注記に入れています。
  • 年と年のあいだはスライダーで滑らかに動きますが、これは表示上の補間で、実際の調査は年1回です。
  • 出典は「国土数値情報(地価公示)(国土交通省)を加工して作成」。二次利用のルールに沿って明記しています。

技術メモ

  • 地図は MapLibre GL JS と地理院タイル(淡色地図を暗く加工)。
  • 地価公示データ(国土数値情報 L01)は zip の中に GeoJSON が同梱されていて、座標変換なしで使えます。1983〜2023年の各年価格が1レコードに全部入っているので、時系列を作るのが楽でした。
  • データはビルド時に静的な GeoJSON へ落としてあり、実行時に外部APIを叩きません。中央区19地点・28年分で、gzip後およそ4KBです。
  • 地点ラベルは日本語なので、MapLibre の symbol レイヤー(フォントの外部配信が必要)を避け、HTMLの要素として重ねています。近すぎるラベルは、地価が高いほうを優先して間引いています。
  • ホスティングは Cloudflare Workers。

丸の内への通勤流動を可視化した前のプロジェクトが「どこから人が来るか(空間)」だったのに対し、今回は「28年で何が起きたか(時間)」を見るものになりました。

2026/07/23

東急線 全98駅の乗降客数トレンドマップ — 国土数値情報で2011〜2024年度を可視化

国土数値情報のデータを使って、東急線 全98駅の乗降客数の推移(2011〜2024年度)を地図上で可視化するサイトを作りました。

https://tokyu-trendmap.pages.dev/

各駅を乗降客数に応じた円で描き、下部のタイムスライダーを動かすと年度が切り替わって円が伸縮します。再生ボタンを押せば2011年度から2024年度までが自動で流れます。

コロナ禍の落ち込みと、その後

再生してみると、2020年度で円が一斉に縮み、その後じわじわと戻っていく様子が見えます。駅ごとの変化率を中央値でとると、こうなります。

期間 変化率(中央値)
2019 → 2020年度 −27.4%
2020 → 2024年度 +27.7%
2019 → 2024年度 −7.8%

コロナ禍で約3割減り、そこから3割近く戻したものの、コロナ前と比べるとまだ8%ほど少ない、という状況です。2019年度の水準まで戻っている駅は96駅中12駅にとどまります。

2024年度の乗降客数を見ると、渋谷が177万人/日と突出していて、以下 横浜(51万)、中目黒(38万)、目黒(38万)、武蔵小杉(20万)と続きます。

「回復度」を色分けするのをやめた話

最初は「コロナ前(2019年度)比で増えた駅は青、減った駅は赤」という配色にしていました。作った側としては見せたい絵があったからです。

ただ、これは特定の年を基準に据えて解釈を押し付ける見せ方だと考え直し、やめました。年度はスライダーで自由に選べるので、どこを基準にするかは見る人が決めればいい。いまは円の色を一律にして、大きさだけで多寡を表しています。

円の色は濃いグレーにしました。青系だと、こどもの国線や東急新横浜線の路線色と近く、特にP型・D型色覚では駅が路線に埋もれてしまうためです。「路線は色付き、駅は無彩色」と役割を分けています。

データの扱いで気をつけたこと

欠損値は補間も推計もせず「データなし」として表示しています。世田谷線の2011年度など、そもそも値がない年度があります。

それと、出典データ側に集計範囲の変更に由来する不連続が残っています。たとえば渋谷は2011→2012年度で+70%と跳ねますが、これは2011年度まで田園都市線と東横線が別レコードで計上されていたものが、2012年度以降ひとつに統合されたためです。中目黒・目黒・横浜などは2023年度前後で大きく増えますが、相互直通運転分の計上範囲が変わったとみられます。

実態の変化ではないので補正したくなるところですが、どう補正しても恣意的になるため、そのまま出して注記で伝えることにしました。サイト内の「このサイトについて」にも書いてあります。

技術メモ

  • 地図は MapLibre GL JS + 地理院タイル(淡色地図)
  • 乗降客数は国土数値情報の「駅別乗降客数データ(S12-25)」、路線の形は「鉄道データ(N02-25)」から東急線ぶんを抽出
  • 背景の地理院タイルは彩度を落として沈めています。ラスタタイルなので高速道路だけを消すことができず、「消す」のではなく「沈めて」東急線を前に出す方針にしました
  • 路線の色は東急公式のラインカラー(公式サイトの路線ロゴSVGから取得)
  • データはビルド時に静的JSONへ落としてあり、実行時に外部APIを叩きません。日本語の駅名ラベルもブラウザのローカルフォントで描画しているので、フォントサーバーへの依存もなしです
  • ホスティングは Cloudflare Pages

出典: 国土数値情報(駅別乗降客数データ・鉄道データ)(国土交通省)を加工して作成。国土数値情報は非商用利用に限定されています。